第三次世界大戦 1 

■ 第3次世界大戦 〜中国の暴走〜



プロローグ

2011年1月中国は北朝鮮を吸収しモンゴルを制圧。このときアメリカを中心とした連合軍がロシアから中国を攻撃!しかし、連合軍はやぶれ、ロシアを制圧される。このとき日本は軍隊を編成(軍をつくる)、そして連合軍に。勢いにのった中国は2016年8月にほぼアジアを制圧・・・・ 2016年8月16日大韓民国の国境で激しい戦闘が行われている。

達磨

国境付近:仁川(いんちょん) 思わず目を瞑りたくなるような朝の光がテントに差し込んでくる ここは連合軍野営テントの集まりの一部 ここ仁川では今、連合軍と中国の一進一退の激しい戦いが繰り広げられている

デビー

「そう、わたしは戦いの時をただ待つばかり・・・、おないどしの友達が今、激戦区にいるというのにこんなところにただ待っているだけの自分に腹が立つものだ。」 彼はテントの中で遠く鳴り響く銃や大砲の音を聞いていた。                      

豹子頭

そう言いながらも、べつに落ち着かない風もなくただ寝転んでいるだけの彼の名は「コーラ」。 現在の彼の立場は、連合軍側の諜報委員という位置にある。いつも冷静なのは仕事柄だ。 しかし彼の言う「戦い」が始まるのはまだ先のことだろう。というのもそれは普通陸戦の前にやることであって、陸戦の途中にやることではないからだ。 「恐らく次の戦いは鞍山の関所を越えるときになるはずだ。」

五年前、衛星から送られてきた画像には数十もある影が写っていた。大陸に異状が起こる前にはなかった影だ。 連合軍(以下万国同盟軍)結成後、コーラ達諜報のエキスパートはその影の正体を掴みに中国に潜入したが、守りが堅く、結局大陸の東側三つの影の正体だけしか解明することが出来なかった。 相手方の本拠地は未だ掴めてはいない。

そんな、相手側の状況もわからないのにここまで攻めてきたのにも訳がある。 軍の中に「中国は今、地球の裏側まで届く核ミサイル及びその発射台を建造中」という噂が流れているのだ。もう天が迫っていると考えた兵は怯える・・・ そこで万国同盟の本拠地(東京、新宿)で参謀会議が開かれた。三日に及ぶ会議で決議されたことは次のようなことであった。 「我ら万国の同盟軍は彼の噂に対して気高く且つ合理的な結論を出した。 それは、我が軍は直ちに大陸に赴き、世の悪を征討することである。 理由は、彼の噂に対し、我らは何も、それが真実なのか否かを見極める術を持っていないので、これ以上出陣を遅らすと軍全体の士気に大きく係わることが予想されるからである。 なお、我が軍の初陣は吉日をとって、八月十五日とする。先ずは未だ兵の整備が行き届いてない仁川の関所を落とす。 兵は今まで異状熱心に訓練をするように。
                       〜万国参謀承認〜」
時には賭けが必要な場合もある。そんな作戦だった。

―――――――――――――――――――――――――――――――― 勝利の雄叫びが聞こえた。 取り敢えず仁川の関は落としたようだった。

達磨

ーーーーーーーーーーーーーーーーー久しぶりの快勝であった・・。
今や大帝国と化した中国に万国同盟は手も足も出ない状況下にあった。それだけにこの戦勝は連合国側に大きなものを与えたーーーーーーーーーーー
兵の士気も一気に高まった。そして新たな指令それは「進軍」であった。勢いに乗って一気に叩こうという策だ。 流石にこの時ばかりは沈着冷静コーラも勝利に酔いしれ冷静さを欠いていた。そして、誰も気付かなかった。この状態での進軍はあまりにも危険だったと言うことにーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
連合軍行軍中此処にいる誰もが目を見開いた。裏をかいて進軍中のはずーーーーーー
それなのに眼前には中国の巨大兵団が待ち受けていたーーーーーーーーーー



そのとき、ウラジオストック軍港に、日本攻撃のため、中国艦隊が続々と集まっていた。それを、衛星で探知した、連合軍は、ステルス戦闘機を海面すれすれの低空飛行での奇襲を計画していた。 使用機体は、F-117、20機、F-22、20機、E-117、6機、である。F-117は艦隊攻撃を目的とし、F-22は空中戦、E-117は4機は、レーダーをマヒさせ、2機は、官制機である。奇襲作戦日は8月28日午後9時・・・・・

達磨

今、二つの激戦が始まろうとしている!

豹子頭

連合軍は敵に囲まれている・・・。
(普通、自軍が敵軍を囲むには敵の十倍は兵力が必要です。  しかし、あちらには、囲みに隙間を作らないところから見て、兵法を理解した者がいないようです。やはりその辺の「寄せ集めの兵」ということですね。  ですが、いくら寄せ集めの兵とはいえ十倍の数に勝てる見込みはないでしょう。  ああ、そうでしたか・・・囲みに隙間を作らないということは兵糧戦を望んでいると取ってもいいということですね?よくよく考えてみればあんな大勢を動かすには余程腕の立つ指揮官が要る筈ですし・・・)
軍の中心部にいる同行参謀:小牧はそんな独り言を言った。
そして隣に座っている指揮官:山本に「どうですか?」と振った。
「つまり、このまま少し様子を見る、と?」
山本は小牧に訊いた。それに対し、小牧はこう応えた。
「表向きはそうします。しかし本気でそんなことをする必要はありません。」
「では?」
「このような蒸し暑い日には、山に火を点けるのは難しいでしょう。
 しかしそれは不可能を意味する言葉ではありません。」
「ほぅ、隠密を使うのですな?」
「その通りです。それが彼の仕事でありますから・・・」
「では早速彼を呼び出しましょう。」
山本は小間使いを呼び、用件を言おうとしたが、小牧の、
「いや、その必要はないみたいですよ。」
という言葉に、山本の声は遮られた。
そこには事情を察知したコーラがいた。
「よぉ、軍師様。今は計を案じるのより兵を大人しくさせておくほうが先だと、何故思わないのですか?みんな動揺してますよ。」
「そうですね。私はまだまだ立場上、軍師の卵ですもんね。いやぁ未熟でした。それより・・・」
小牧の言葉を途中から山本が奪って言った。
「それよりお前がここに来た理由は自分で判ってるのか?」
「愚問ですね。いくら俺でも、自分からこんな所散歩したいなんて言い出しませんよ。 そしてその依頼、確り遂行させてもらいます。」
「いやいや、その「依頼」という言い方はご遠慮してもらえませんか?
 今、貴方と私は『依頼人とプロ』なんて関係じゃありませんので・・・」
「分かりました。今すぐ敵野営地の背後の森に火を放ってまいります。」
「頼む。」
山本がそう言ったときには、既にコーラは小牧たちに背を向けていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 コーラは、背中に火炎放射器と可燃性の高い燃料と大きな爆弾を背負い、右手にH&K MP−5マシンガン、左足に戦闘用ナイフ、ベルトにM8000クーガーGという拳銃を付け、陣を出た。そして敵に遭遇せずに敵陣の裏にでた。  

達磨

「さて仕事をさせてもらいますか・・・。」
コーラはぼそっと呟いた。
そして火炎放射器に手をかけた・・・・・・・


ウラジオストック軍港・・・・・・・
「さてそろそろ任務の時間だ・・・」
大河 秀明は言った(おおかわ ひであき:ステルス戦闘機F-117操手)
任務遂行は午後九時。大河が昔から愛用している懐中時計の針は午後八時三十分を指していた・・・・・
任務は危険を極めている。相手の数が圧倒的な為である。
同じF-117を操縦する親友の瀬名も任務を告げられた後に「なあ、大河、この戦いで俺たち死ぬかもな・・・。」
と涙声で話しかけてきた。
これが最後なのか・・・・・・?
大河は空を仰いだ。
無情にも時は刻々と迫っていた・・・・・・・・・・・・・

きむさん

…すでに世界標準時で午前十一時をまわっている。
ウラジオストクとの時差は約九時間、つまりあと一時間しかないのだ。

コーラは山道を登っていた。
鍛え上げた身体は軍隊に所属していたころから少しも衰えていないが、
さすがにこの重火器は重い。
「…これだから最新式は嫌いだ。」
ひとりコーラはつぶやく。
”古来からの軽装備の方が楽だし、とっさの行動にも移りやすい”
これがもっぱらコーラの論であった。
しかし今回は警備の厳しい敵陣の裏をかかねばならない、 しかも火計ときている。
そういう理由で、今回は最新式を用いよう。そう判断したのだった。

汗が頬を滴り落ちる。
宵の口とはいえ、まだ暑さも残る。
コーラは携帯飲料水を口に含んだ。
この時間はほんの若干ではあるが警備が薄くなる、 それは事前に調査済みだった。
それだからこそ「作戦遂行はこの時間に」と連絡したのだが。
裏道は敵陣直下の廃坑道と、輸送用の山道の二通りあった。
コーラは後者を選んだ。
面倒な仕事は早く片付けたかった。
今現在、敵軍の輸送は水路を用いる事が多い。
大量輸送が可能であり、効率が良いためだ。
滅多に使われていない山道の方が、”廃”とはいえ地下倉庫に通じている坑道でレーダーに引っかかるよりは安全だろう。
そう計算していたのだが…

「ええい、コーラ中尉からの連絡はまだか!  それどころかノイズ一つ入らんではないか!!」
先鋒攻撃陣第二隊長、佐井原が怒鳴り散らしている。
任務遂行予定時刻十五分前を切ったというのに、 何の音沙汰もないのだ。
そろそろコーラらしく”ノロシ”の一つや二つあがっても良い 「はず」なのだが…



その時、ちょうど敵陣の後方で大爆発が起きた。そして1しゅんにして敵陣を炎につつんだ!
佐井原:「おお!!派手にやってくれるな〜」


豹子頭 任務遂行予定時刻十八分前(一応夕方ということに)

山道。
丁度火を放つ予定の位置についたコーラは、そろそろ本部に連絡をしようと、無線の入っている胸ポケットに手を当てた。
だが「やっぱり・・・」と手を止め、後ろを向いた。
「やっぱり、今は無線をするより大事なことが在ったか・・・」
夕闇に塗れた周囲に人の気配が感じられた。しかも夜目の訓練をしたコーラに見えるだけでも十数人は居る。明らかに中国側の別隊である。
(ここであまり大きな音を出すのはいけない。あっちも俺のいる位置は正確には判らないだろう。静かに始末・・・いや、気絶させるだけで俺の仕事は簡単に終わるだろう・・・)
このような理由からコーラは素手で戦うことにした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この別隊の隊長:來虎子は石段に座り、近くにある木をなんとなく眺めていた。
本隊からの指令は、「コーラの始末」、それだけだった。
だが來はコーラという人物を知らない。上からは「かなり凄腕の密偵だ。」としか言われてないので、若し隊の中に紛れ込まれたら厄介だ。
・・・こんな感じに來は物思いに耽っていたが、ふと気が付くと自分の周りからは人の気が消えていた。
・・・來は背後に何者かの気配を感じた。
それに気が付き前方に転がって相手の攻撃を避け、來は拳術の構えを取った。
「お前がコーラか。」
その問いに相手は
「いかにも。」と応えた。
コーラの方も相手の強さをなんとなく感じ、背中の荷物を降ろして二本のナイフを逆手に構えた。

声無き戦いは始まった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そして午後八時四十五分・・・
そろそろ頃合だとして、大河と瀬名は戦闘機の前まで来た。
「なぁ大河?この戦いが全部終わったらお前は何かやることがあるのか?」
「ううん・・・普通に生きたいな・・・」
「そっか・・・」
二人の地位は今のところ二等兵ほどのものだった。その二人のささやかな願い事だった・・・

遂に八時五十分。
今回の作戦の隊長となる佐々木が前に出て、みんなで国歌を歌った。
歌ってる途中泣き出す者もいた。しかしこの二人はずっと泣かなかった。二人は歌ってる間ずっと虚空を見つめていた。
そして・・・
「さぁお前ら、さっさと機に乗れ!」
と佐々木の声がかかった。

「大丈夫だよな?俺たち。」
機に乗り込む際、瀬名にそう言われ、大河は適当に相づちを打ってやった。
「ああ、そうだね。」 これが最後ではないと信じたかったから、返事はこれだけにしておいた。続きはまた明日、明後日、明々後日にでも話せばいい。
「じゃあ、また今度。ぼくはきっと生きてるよ。」 「おう!この戦いが終わって普通に暮らせるようになったら、今度は女を抱えて、また磯で釣りをしようぜ!」
瀬名は笑っていて、無邪気に言った。
そんな感じに、大河と瀬名は互いに別れを惜しまなかった。

そして、戦闘機は皆それぞれ発っていった・・・



ウラジオストック攻撃部隊は沿岸レーダーに感知されないよう、海面すれすれで高速飛行をしていた・・・

  「本当にレーダーに感知されないないんだよな・・・」と大河は一人ごとを言った。
 しかし、ウラジオストック攻撃部隊はすでにレーダーに感知されていた。沿岸レーダーには感知されなかったが、なんと偶然近くを通った敵の電子器機にみつかっていたのだ。
 官制機:「くそっ・・・ 作戦本部、敵に見つかった、援軍を送ってくれ」
作戦本部:「本当か! 今すぐ援軍を送る」

達磨

・・・・・・・・・・・二人は構えを取ってから2分たっぷりは睨み合っていた。コーラは思った「こいつできるな・・・・。」  來の構えには無駄が無かった。上背でも彼の方が上だろう。それに相手はナイフを持っている。武器の一つや二つ持ってくるべきだった、とコーラは舌打ちした。だが彼は護身術として色々な分野の格闘技を習得していた。「やるしかないな。」とコーラが呟いた瞬間
「おおおっ!」と來が吼え突進してきた。
「くっ」コーラは嘗て趣味の一貫としてプレイしてきたボクシングの華麗なステップで上手くかわした。おい見え見えだぜ、動きが、と余裕の笑みを浮かべた瞬間コーラの右脇腹辺りに痛みが跳ねた。
來はかわされて体勢を崩したにも関わらずその瞬間に立て直しコーラの脇腹を一突きしたのだった。
「この野郎、やるじゃねえかよ」
久しぶりに手応えのある相手と相まみえた気がした・・・・・・

豹子頭

來は素早かった。次の瞬間、コーラが気付いたときにはナイフが目の前に迫っていた。紙一重でそれをかわすと、もう片方の手に持っているナイフが急所をめがけて飛んでくる。それを避けて飛び退く。この繰り返しだった。
飛び退いたために乱れた構えを直す一瞬で認識できたのは、これを繰り返す毎に段々腕の切り傷の数が増えていくことだけだった。
・・・・・・・・・・・・ 右脇腹に受けた傷のためにコーラの意識は遠退いていった。
今ではぼんやりとしか見えない相手の動きを追っているだけだ。
この状態で思考することが許されるのなら、彼はきっと「何故こいつは疲れもせず動けるのだろう」と思っただろう。來は、まるで機械か何かのように攻撃の手を止めない。
・・・とコーラは一瞬自分の意識がゆっくりと流れたように感じた。そして後ろ向きに地面に倒れこむ。神経の限界だった・・・
コーラは何も感じなくなった・・・
來はコーラに餞の言葉も言わずに額にナイフを突立てようとする。
しかし、このときコーラの体に異変が起こった。血が再び熱くなりだしたのである。
來はナイフの切っ先が額に付くか付かないうちに、コーラの蹴りが胸に入り垂直に宙に飛び上った・・・
「この野郎・・・」
一瞬で逆立ちの体勢に移ったコーラは、落ちてくる來の顎を片足で蹴り、もう片足で肋骨を割った。來の体は少し飛んで地面に「ドサッ!」っと落ちた。
「おめぇよぉ、俺は男に生まれてきて嬉しいぜぇ・・・」
男の血が沸騰した漢にしか言えない台詞だ・・・
そして・・・蛇拳の構えをとった。
「もう一度ナイフで来いよ・・・」
虚ろな眼で笑うコーラの周りには威厳が満ち溢れていた。
「俺も男に生まれてきて本当に幸せだ・・・」
來もそう言いナイフを構えなおした。二人の間には既に友情が生まれていた。
「戦う宿命ならそれでいいさ・・・」
やはり次の瞬間にはコーラの目の前までナイフが迫っていた。それを今度は避けずに蟷螂の手で絡めとる・・・
そして、來はコーラの腕に弄ばれる形となった。
実際、コーラにはもう、闘う気力などなく、何時また倒れてもおかしくなかった。
そのためコーラは投げ技など使えず、來の背中を木に打ちつけて、その腹に掌を重ねて、精神を集中させた・・・
「俺がもし生きていれば、また会えるかもな・・・」
そう言ってコーラは限界の力で波紋を起こし、來を体内から破壊した・・・
來は地面に崩れ落ちた。コーラは力なく笑っていた・・・
「決して手加減したわけじゃねぇぞ・・・」
コーラも倒れた。しかしコーラの方は運が悪く、倒れた位置に丁度石があり、その際コーラはその石に頭を強打した。
運が良かったと言えば、來がその後起き上がったとき部下に「どうせ頭を強く打って、もう命はないだろう」とコーラを始末する命令を出さなかったことと、倒れたとき頭の下にあった石は尖ってなかったことと、結果的にコーラが任務を果たした形になったことと、近い時間にその辺りの隠れ猟師に拾われたことくらいだ。

そしてその後、來はコーラが生きていることを夢見るのであった・・・

豹子頭

小牧はまた独り言のように呟いた。
(ここは背後の陣を突き破りましょうか・・・)
そしてまた、「どう思います?」と山本の方に振った。
「賛成だ。」
山本も呟いた。コーラが「火を点ける。」と言った山の方に行くのは望ましくない。
山本はその位置から指令を出す
「ものども!後ろに進軍じゃぁぁ!」

(そのとき小牧は本当に独り言を呟いていた。
「大丈夫、彼が生きていれば、また会えるでしょう・・・」)

混乱しきっている陣を突き破るのは非常に簡単であった。それこそ銃器を使わなくても良いほどで、おまけに死者も一人としてでなかった。
しかし、所詮囲みを破っただけのことだった。

「でもこの先にもまだ敵軍が居るかも知れませんよ。」
また、小牧は山本にこう問うた。
「どうします?勢いに乗って敵を潰しに行くか、勢いに乗って邪魔者を潰しながら敵地を抜けるかですけど?
 前者は当初の予定です。元々この進軍は軍の士気を低下させないための指令で、ここで還ったら意味がありません。
 後者はちゃんと理由が在りますから上も許してくれるでしょう。このまま闇雲に敵の基地を探すのは、またさっきのような面倒に巻き込まれかねない・・・と。
 私が思うにここは密偵を数人置いて、秘密裏に相手方の基地を探してもらうのが得策だと思います。仁川の関も破ったことですし、当分は交通が楽になるでしょう。」

豹子頭 文句があればいくらでも受けてあげますよ。フフフ・・・

今まで静寂に包まれていたウラジオストク軍港は今、事情を知らない人が見たらとても活気があるように見える。いや、熱気があると言うほうが相応しいのか。
兎に角、この場で血の熱いロシア人同士が肩でも触れ合ってしまったら大喧嘩が起こるだろう・・・
理由はただ一つ、日本との海峡に異常が起こってるのだ。
先程兵舎に入った情報によると
「海面上すれすれに飛行する戦闘機を多数発見。
 これからここに奇襲をかけるものだと思われる。」 とのことだ。 すぐさま海兵は召集され艦に乗り込んだ。
飛行機がここまで飛んでくるのにはあと二分はかかるだろう・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
さて、ここは数ある軍艦の中の一つ、「コックベイラー号」
その数ある船室の中の一つ、「201号室」では今、昔のことについて語り合っていた。
「五年前だったか・・・俺たちが中国側についたときは・・」
「あの時は俺たち、まだ青かったよなぁ・・」
「逃げ遅れたとか家を捨てられない多数のロシア人は捕まって、今の俺たちのように兵になってるんだよな。」
「それでも俺たちが反抗しないのは、きっとこの戦いの目的が大義のあるものだからなんだろうな・・・」
一番目に発言した少し太めの彼の名は、「タミー」。
二番目に発言した芸人風の性格の男は、「アントン」。
最初はこの二人だけが話していたのだが、
「俺たちはこの国を守るために戦えばいいんだろう?」
三人目が加わった。「カルルス」である。
そして・・・
「でも中国の人間は『この戦いに勝てば、我々だけではない世界全土の人類に幸せが訪れる』と言ってるぜ?」
発言数が増えていけば行くほど、この話し合いに人物が加わるのはここまででお仕舞いのようだ。この部屋にはこれ以上人が居ない。
四人目は「ジョアン」といった。
ジョアンが言った。
「中国側の人間と交渉したウチの大統領もそう言ってるしな。」
「ホントあの大統領は皆に好かれてるよな?」
「ああ。」
カルルスが言い、タミーがそれに相づちを打つ。
「俺たちの仕事が始まるのはまだまだ先のことだろう。あっちもこのままやってくることが危険なことぐらい気づいてるさ。俺は寝るよ。」
ジョアンは仮眠に入った。
と、その時部屋のドアが「バターン!」と開いた。
「よぉよぉ、暇だから様子を見に来たぜ。」
入ってくるなり煙草を吸い始めた無作法さに頭にきたタミーは
「おい、ミーシャ。ここは禁煙だぞ!?」
と問うた。
「煙草ぐらいべつにいいじゃないか、同胞よ。」
「『いいじゃないか』って・・・アントン?」
アントンはミーシャの鸚鵡返しに
「煙草ぐらいべつにいいじゃないか、同胞よ。」
と応えた。
「・・・」
タミーには返す言葉がなかった・・・

豹子頭

――――――――――――――――
「日本海上の戦い」

ロシア艦:艦長!向こうに連合軍が見えます。
  艦長:連合軍か・・・。よし射程内に入ったら撃ち落とせ。
ロシア艦:了解しました!
ミーシャ:俺たちの仕事も始まるのか・・・

ロシア機:最新式の戦闘機で加勢します。
ロシア艦:わかりました。
 連合軍:あれがロシア艦か・・・作戦通りに行くぞ!
 連合軍:了解。
F-117は艦隊攻撃を仕掛けた。敵の砲撃をよくかわし、戦線離脱者は今のところ出ていない。
F-22は艦と機を分離。艦対機、機対機の戦いに持ち込むことに今のところ成功。

 連合軍:流石に防御力の高い艦だ。

・・・・・・
  大河:うぅぅ!

囲みから一機抜け出しF-117に攻撃。大河これをかわす。

  瀬名:俺は大丈夫だ!おっと!

瀬名も艦の砲撃をかわす。

・・・・・・・・・

ロシア艦:これにてお仕舞いです・・・
 潜水艦:これが最新式潜水艦の力だ。

離れロシア艦、潜水艦の機雷により一隻撃破。

ロシア艦:ぬぅ・・・潜水艦とな・・・クソ。

離れロシア艦は次々と撃破されていく・・・

ミーシャ:ちっ。野郎・・・
ジョアン:俺はここは本体から離れないで行くほうが無難と見た!
  艦長:そのようだな。そっちのほうが生存率は高いだろう・・・

 連合軍:F-117!直ちに還って来い!艦は潜水艦数隻が片付ける。
 潜水艦:遅れたな。すまん。

潜水艦はロシア艦に向けて魚雷を発射。ロシア艦は潜水艦に向けて魚雷を発射。

 潜水艦:やっぱりロシア艦は防御力が高ぇ・・大量の機雷じゃねぇと・・・

潜水艦、全艦沈没。

 佐々木:国のためだ・・・許しはもらってある・・・
 日本軍:結局、太平洋戦争のときと何も変わらねぇな・・・
     まぁ俺だって、命を賭けてこの国を守ろうって誓ったんだ

そのときには既にF-22の任務は援軍が来たことにより片付いていた。

 佐々木:相手方には後続部隊なし。
     万国同盟の未来のため、最後の策に訴える。いいな?
 連合軍:隊長!この戦いの目的は、敵の日本攻撃を阻止するだけではないのですか?
 佐々木:取り敢えず、砲台をもいでおけば、この後の万国同盟に脅威ではなくなるだろう。ここで逃げる奴は男ではないぞ・・・
 連合軍:わかりました・・・

ただその指令は大河には聞こえていなかった。というのも大河の機の無線は故障していて正常に音を拾えないからであった。

  大河:アレは?

大河にはロシア艦に仲間達が突っ込んでいくのが見えた。
一機、また一機、今度は三機一緒に・・・
ここまで爆音が聞こえてくるような気がした・・・
その瞬間大河は、自分以外全ての人物に下った指令を悟った・・・

残ったのは自分独りだった・・・

大河が、今からでも・・・と思った瞬間にはもう敵艦隊は逃げていた。
命拾いした、などとは思いたくなかった。大河は自分を憎まずにはいられなかった。
自分にはその指令が下されなかったこと。それが偶然によるものだとしたら、大河はもっと自分を憎んだ。
そして自分に
「この時代でも、国を守るために命を捨てる馬鹿野郎はまだ居たんだ・・・」
と皮肉を言った。

達磨

大河は機から降り立った。一人での帰還であった。
皆死んだのだった、自分を残し全ての仲間全員が。
出迎えてくれた寄居大尉が言った。
「彼らは国のために尽くしてくれたんだな」
大河は返事をしなかった。
「君もよくやったよ・・・・・・・。そして、国のために死んでいった仲間達のためにもこの戦いに勝とうじゃないか。死んだ彼らに「勝利」という花を手向けてやろうじゃないか。」
大河が口を開いた。その声は微かに震えているようだった。
「自分も・・・・・・自分も彼らと・・・・彼らと、い、一緒に・・・・・」
言葉が続かなかった。

嗚咽。

大河はこの時自分が泣いていたことに気付いた・・・・・・・・・

悲しみの涙でもあり悔しさによるための涙でもあった。



====第1部完====


このあともまだ、数話続きがあったのですが、掲示板の容量の問題でお話が消えてしまいました。豹子頭さん、達磨さん、親戚スミマセン。もし、よかったら、第2部としてまた書いてください。今度は必ず保存します。(光)

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